SATSANG JOURNAL
電気工事士の独立、太陽光・蓄電池施工はどう始める?必要経費一覧を読む
施工経験を生かして独立するには、技術に加えてお金と受注の準備が必要です。住宅用蓄電池施工のモデルをもとに、毎月の経費、開業資金、独立までの流れを整理します。

「現場は一通り任せてもらえる。そろそろ自分で仕事を受けたい」
そう考え始めた電気工事士にとって、大切なのは、施工単価から自分にいくら残るかをつかむことです。
独立すると、施工だけでなく、材料の手配、移動、申請、請求、引き渡し後の対応まで、自分の事業として管理することになります。まずは、必要な経費と準備の順番を見ていきましょう。
※この記事の金額は、条件を設定したモデルケースです。特定の事業者の実績や、市場相場を示すものではありません。
毎月の必要経費

住宅用蓄電池の施工を、事業主と従業員2名で請け負うケースを考えます。機器本体は発注者からの支給、車両はレンタルという想定です。
1件22万円で月18件を施工すると、売上は396万円。人件費、材料費、車両費、申請費などの支出を334万円とした場合、差額は62万円です。
ただし、この支出には事業主本人の報酬を含めていません。差額から本人の生活費、税・社会保険、借入返済、設備更新などの資金を確保する必要があります。62万円がそのまま手取りになるわけではありません。
また、受注が減っても人件費や賃料は残ります。独立前には、予定どおり仕事が入る月だけでなく、案件が少ない月も試算しておきたいところです。
※課税取引は税抜で計算しています。差額は減価償却等を反映した会計上の利益ではありません。太陽光パネルの設置工事や足場が必要な案件は、別に見積もります。
開業時に必要な資金

このモデルでは、拠点の準備、工具・測定器・安全装備、初回の材料在庫などに320万円を見込んでいます。
これは小規模チームで始める場合の一例です。手持ちの工具や車両、保管場所を使えるなら、必要な準備資金は変わります。
さらに考えたいのが、工事代金の入金までをつなぐ運転資金です。材料費や給与の支払いが先に来れば、売上が立っていても現金が足りなくなることがあります。
開業準備に使うお金、事業を回すお金、自分の生活費。この3つを分けて計画しましょう。
※準備資金には敷金や在庫などを含み、全額が税務上の経費になるわけではありません。初回在庫と毎月の材料費は二重に加算しません。
独立までに進めたい5つの準備
1.受注先と、請け負う範囲を決める
施工店や販売店に、対応エリア、扱える機種、施工体制を伝え、発注の見込みを確認します。機器・材料の支給、追加工事代、検収、支払日、保証・再訪の負担は、受注前に書面で確認しましょう。
2.資格・登録・メーカー条件を確認する
工事内容に応じた資格に加え、電気工事業の登録・届出、建設業許可の要否を確認します。一般用電気工作物等を扱う営業所の主任電気工事士は、第二種の場合、免状交付後3年以上の所定の実務経験が要件です。メーカーの施工IDや対象機種、有効期限も確認します。
3.人員と安全対策を整える
重量物の搬入、応援の手配、施工後の検査、廃材処分まで担当を決めます。太陽光の屋根施工を扱う場合は、墜落防止対策も必要です。労災や賠償への備えも含めて準備しましょう。
4.入出金の予定から資金を用意する
案件ごとの入金日と、材料・外注費・給与の支払日を並べます。不足する時期と金額を把握したうえで、自己資金や借入の計画を立てます。
5.開業手続きと原価管理を始める
開業届、青色申告を希望する場合の申請、雇用に伴う手続きなどを確認します。受注後は材料費、作業人数、移動、再訪を案件ごとに記録し、見積もりとの差を次の単価交渉に生かしましょう。
現場経験を、続けられる事業につなげる
施工の経験は、独立するうえで大きな強みです。その強みを生かすには、「いくらで受けるか」と「どこまで負担するか」をセットで考えることが欠かせません。
Satsangで案件を探すときも、金額だけでなく、工事範囲、支給材料、施工体制、支払条件まで確認してみてください。
出典・参考資料
- 日本政策金融公庫「建設業の創業のポイント」
- 経済産業省・関東東北産業保安監督部「登録電気工事業者として登録申請を行う場合」
- 国土交通省「建設業の許可とは」
- ニチコン「施工ID所有者様へのお知らせ」
- 厚生労働省「屋根上作業の墜落防止・作業標準マニュアル」
- 国税庁「新たに事業を始めたときの届出など」
資料確認日:2026年10月4日
